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魔法がはじまった。 TO YOU ~ 夢伝説_c0402617_14242840.jpg
1981年5月にファースト・アルバム、1982年6月にカンド・アルバムを発表したのに、3年目はアルバム発表の機会がありませんでした。そして、4年目の1984年の7月にこのベスト・アルバムが発表されます。なぜ?アルバム2枚しか出していないのに・・・ということになります。

3年目にアルバムがなかなか出なかったのは、やはりレコード・セールスが芳しくなかったからかもしれません。ツウと呼ばれる人に評価を受けても、一般大衆には受けなかったというのが現実でした。

しかしながら、1984年5月に、いわゆる普通の人を感動させる名曲「夢伝説」が発表されます。この曲はカルピスのCMに使用され、広く世の中に流れることになります。そして、この曲は彼らにとって、初めてのヒット曲になったのです。レコード会社サイドは、「夢伝説」をフィーチャーしたアルバムを発表すれば、人気は広がると確信して急いでベスト・アルバムを作ったのでしょう。とにかく、このチャンスを逃してはならないという気持ちが伝わってくる発売スケジュールです。

で、「夢伝説」です。
きっかけは、この曲の前に発表されたシングルだったかもしれません。1983年10月に発表されたシングル曲「トワリライト・アベニュー」(作詞 竜真知子、作曲 根本要、編曲 スタレビ)のことです。その前の3枚のシングル(シュガーはお年頃、銀座ネオンパラダイス、ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス)が彼らが得意とする昭和歌謡の匂いがする高度なポップスで、ツウに絶賛されるマニアックな曲(裏を返せば、一般人にはおチャラけて聴こえるか、意味不明。)であったのに対し、正統派の美しいラブソングでした。何で、方向転換したのかはわかりません。今度は違うパターンで攻めようと思ったのか?それとも、売れる曲をつくろうと考えたのか?売れる曲を作れというレコード会社からの指示があったのか?まあ、謎ですが、結果としては、バンドの周囲はこりゃイケルと思ったことでしょう。松田聖子に歌ってもらうことを考えて作られたという曲は、切なく美しいメロディにキラキラしたアレンジで、ヒットする要素がいっぱいありました。結果的にはヒットしませんでしたが、手ごたえを感じたバンド(バンドの周囲?)はさらにロマンチックな曲を作ろうと考えたにちがいありません(想像だけど・・・)。彼らも、初期3枚のタイプの曲でブレイクは無理と判断せざるを得なかったと思います。
そして、作詞 林紀勝・根本要、作曲 根本要、編曲スタレビの「夢伝説」が生まれす。当初のタイトルが「赤い糸の伝説」というだけあって、恋愛においてよく話題に上る「運命の赤い糸」をそのまま歌にしちゃったロマンチックな曲です。
歌詞、メロディ、アレンジが完璧で、聴いているものを引き寄せるような圧倒的な内容でした。
透き通るような曲の流れは、一度でも聴けば、人の心の奥にとどまってしまう・・・そんな感じがします。
こんなロマンチックでいいの?と思っちゃうくらいです。
まさに魔法がかかったような不思議な曲。
そして、根本さんの、魅力にあふれた声!心に響く歌詞とともに浸りたくなるような世界です。
当時のJポップはもうちょっとリアリティな歌詞がトレンドだったような気がしたから、異質だった気がします。それがよかったのかも。

正直に言えば、私はこの曲が発売された時期はスタレビを認識していませんでした。スタレビというバンドを知ったのは、1986年の4作目の「VOICE」が発売されたころなのです。当時、新作に合わせて「夢伝説」もラジオから流れてきたのを聴いて、この曲何となく知ってる!すごいいい曲だ!と感動したのを覚えています。たぶん、カルピスのCM曲として認識していたからでしょう。それだけ、強力な曲でした。この曲の素晴らしさが、彼らの運命を変えたといってもいいと思います。まさに運命の1曲。この曲が無ければ、その後の彼らはどうなっていたかわかりません。この曲のおかげで、初期2枚のアルバムの名曲たちも世の多くの人の耳に届くことになります。彼らの快進撃がここから始まっていくことになるのでせう。

ちなみに、このアルバムの収録曲は「トワイライト・アベニュー」、「夢伝説」以外は初期2枚からの選抜曲となりました。1曲目は新曲ではすが、アカペラによる短いイントロで正式な曲ではありません。

# by sutarebizuki | 2022-01-30 15:30 | STARDUST REVUE



久々の更新です。
セカンド・アルバムについて、つぶやきます。
添付した動画の画像は「Best Wishes」になっていますが、曲はセカンド・アルバムの曲です。

このアルバムはファースト・アルバム同様。アマチュア時代の香りが残っているアルバムです。
デビュー時のスターダスト・レビューは「笠置シヅ子的戦後昭和歌謡のモダンポップス化」的なサウンドを押し出してたような気がします。その点がファースト・アルバムと共通しています。これは、非常に個性的で、業界人にかなり評価されたと思うのです。
そして、ある程度のおチャラけたロック!これは、すでにメジャー化していたサザン・オールスターズがけっこう得意とするものであり、うまくいけばかなりウケルと思われたのかもしれません。
でも、やはりサザンのようにはいきませんでした。
その高度な音楽性とバンドとしての能力が発揮されたアルバムではあったのですが。

今回は2曲目以降の分析と行きましょう。「今夜こ・れ・か・ら」。作詞作曲は根本さん、編曲はスタレビです。
この曲は、前述した「笠置シヅ子的ポップス」です。ブールス感覚が溢れていて、ルイ・アームストロング風のこぶし?を披露する根本さん。ほんと器用で、芸達者です。
いわゆる売れ線の曲ではなく、遊び心に溢れた曲で、まさにサザンのデビュー時に共通する感じですね。一般の人が聴くと???と思ってしまうかなあ。
マニア向けの曲だけど、聴きごたえあります。

3曲目は「ブラックペッパーのたっぷり聴いた私の作ったオニオンスライス」。作詞は根本さん・寺田さん、作曲は根本さん、編曲はスタレビ。
この長いタイトルには圧倒されるし、ユーミンが作って吉田美奈子も歌った「チャイニーズスープ」をなぜか思い出してしまう(私だけかもしれないけど。)。
この曲はこのセカンドアルバムの中で最も印象的で、ライブで盛り上がる曲。
よくこんな面白くてインパクトのある曲をつくったものだと思う。言葉遊びが秀逸。
「笠置シヅ子的ポップス」から、一歩進んだ世界を見事に構築したような気がする。明らかにライブ感あるロックに仕上がっています。
何と2021年、この年最も活躍した女優の上白石萌音がこの曲をカバーしています。
選んだ人、スタレビのファンなんだろうな。

4曲目は「Moonlight Party」。作詞・作曲は柿沼さん、編曲はスタレビ。トロピカルな感じの、軽い曲で、リゾート感たっぷり。初期のスタレビでは、柿沼さんはこうした南国的な曲を作るのが好きだったのでしょうか?ファースト・アルバムに収録された柿沼さんの曲に通じます。

5曲目はまさに三谷ワールドの「I’m Getting On Without You」。作詞・作曲は三谷さん、編曲はスタレビ。しっとりした都会的なクールな曲。コーラス部分がマイケル・マクドナルド在籍時のドゥービー・ブラザーズそっくり。当時のアメリカのサウンドを意識してたのかな?ニューヨークっぽいです。
根本さんのギターはラリー・カールトン的。三谷さんがメイン・ヴォーカルとってるけど、根本さんも歌っている。
この曲に限っては、三谷さんが全部歌った方が良かったような気もする。

6曲目はまさにスタレビ・サウンド!「What A Nite!」。作詞・作曲は三谷さん、編曲はスタレビ。
バンド名にある「レビュー」を思わせるビッグ・バンド・ジャズ・サウンド的な華やかな曲調は楽しいの一言。
カラフルなイメージがいい。
「ブラックペッパー・・・」と並ぶ、このアルバムにおける名曲だと思います。当然、ライブで盛り上がる曲です。

7曲目は「村長さんの娘」。作詞・作曲は根本さんで編曲はスタレビ。
いわゆるコミック・ソング的な感じで、彼らがアマチュア時代「アレレのレ」と名乗っていた時のバンドのイメージを持っています。
こういう曲はサード・アルバム以降は登場しません。
初期というか、アマチュア時代の彼らの遊び心を楽しめる曲で、今となっては貴重です。
根本さんは、MCでわかるように、おふざけが大好きなわけで、アマチュア時代は音楽にもそれを持ち込んでたのでしょう。
まあ、こういうタイプの曲は売れ筋ではないので、このアルバムが最後の登場の機会となりました。

8曲目は「紅いハンカチ」。作詞はボーさん、作曲は根本さん、編曲はスタレビ。
しっとりしたバラード。ブルース感覚のある歌謡曲的なメロディ展開です。
やはりブルース感覚の表現が凝っていて、百戦錬磨のバンドという気がします。でも、今一つオシャレではないかなあ。一般受けはしないかも。

9曲目は「Monologue」。作詞・作曲は三谷さん、編曲はスタレビ。
メイン・ヴォーカルは三谷さん。
8曲目とは違って、完全にAOR的なオシャレな曲。サードアルバム以降のスタレビの方向性を示している感じがします。
世の中はこういう音を求めていました。
根本さんのギターはまたまたラリー・カールトン的です。

10曲目は「Alone In The Morning」。作詞は根本さん、きないのりこさん、作曲は根本さん、編曲はスタレビ。
作詞に外部ライターが入っているせいか、雰囲気が違うような。
哀愁を感じさせる曲で、わりと普通っぽいJポップに聴こえます。個性がやや希薄かな。フレットレスベースは印象的です。


こうやって全曲聴くと、実にバラエティに富んだ作品ですね。
アマチュア時代の彼らがなぜ評価され、プロになれたかというのがわかる作品です。
ただし、売れ線ではない。
通(ツウ)に受ける作品となっています。

やはり売れなければならない・・・その気持ちが「夢伝説」を生みだしたのでしょう。




# by sutarebizuki | 2022-01-12 16:58 | STARDUST REVUE

セカンド・アルバム 「今宵はモダンボーイ」その1_c0402617_16145029.jpg
セカンドアルバムは1982年6月25日発売。ほぼ1年でのセカンド・アルバム発表は順調と言えよう。
ヒット曲が無かったけど・・・

タイトルは「今宵はモダンボーイ」。
アルバム・タイトルからして、ファースト・アルバム同様、笠置シヅ子の時代を思わせるムードを継続しようという気概が伝わってくる。
何となく、ファースト・アルバムにあった、アマチュアっぽさが消えて、垢ぬけた感じがするのは気のせいか?
ライブの定番となっている3曲目と6曲目はまさに名曲。1曲目も実に楽しい。

それでは、その1曲目の「噂のアーパーストリート」である。
作詞は外部の人で、作曲は根本さん。
なかなかの傑作である。「シュガーはお年頃」の路線をもっとポップに聴きやすくした印象がある。
高度なコーラスとあっけらんとした陽気な曲調には思わず微笑んでしまう。
当時の彼らがやりたかった音楽が凝縮された一曲のような気がする。
まさにアルバムトップにふさわしい。
オールドポップスと歌謡曲を巧みに取り込んだ独自の音楽が完成している。

# by sutarebizuki | 2020-06-07 16:29 | STARDUST REVUE


スターダスト・レビューのファースト・アルバムの6曲目から9曲目までの感想です。

6曲目は「GOOD-BYE,MY LOVE」。
アカペラから入る、実にスタレビっぽいところがある曲。
しっとりしていて、ちょっと寂し気な曲調。
後のスタレビの曲に比べると未完成な感じがする。
アマチュアっぽさが残っているのだろうか?若さと言えるかも。

7曲目、「今年の夏こそは」。
外部の人(井上徳雄氏)による作詞作曲。「常夏のジャガタリアン」同様、コミカルなリゾート・ソング。
柿沼さんの声だと思うが「ムラ、ムラ」等のセリフは印象的だ。
コミカルでありながら、演奏力の高さを見せつけるので実に玄人向けの曲。
楽しい曲だが、ヒットを狙う感じではない。

8曲目、「READY TO LOVE AGAIN」。
三谷さんが主体となっている曲で、ズバリ売れ線のシティ・ポップスだ。ある意味、抵抗なく耳に入ってくる聴きやすい曲。でも逆に言えば個性が希薄かもしれない。
他の曲ほど、遊び感覚がない。三谷さんはオシャレな曲が好きだったのだろう。
根本さんのギターはラリー・カールトン風。上手い!
根本さんは、カシオペアのようなフュージョン・バンドをやってもそれなりに成功したと思う。

9曲目、「たそがれラプソディ」。
イントロはリー・リトナー風。根本さんがテクニシャンであることがよくわかる。上手すぎる。
そして、例によってコミカルな感じが入っている。どうも一筋縄ではいかない。
サビはキャッチー。
当時のスタレビは高い演奏力、高いコーラス・スキルに加え、ちょっとコミカルな曲調により個性を発揮するという方向性のようだ。
大学時代、バンドをやっていた経験から言うと、こういう音楽性というのは、業界人や玄人に実に受ける。
サザンだって爆風スランプだって、コミカルなところが受けたわけで、スタレビもこの路線で大成功!というのが本人たち及びサポートするレコード会社の思惑だったのだろうけど、結果としてはそうならなかった。
一般の音楽ファンの好みと微妙にずれていたのかもしれない。
しかし・・・その後の彼らは雑草のようにたくましく幾多の困難を乗り越え、日本有数のライブ・バンドに成長していく。
名曲も数えきれないくらい作っていく。

そんな彼らのファースト・アルバムであるこのアルバムは、彼らにとってもファンにとっても、プロとしての第一歩を刻んだ作品として実に大切なアルバムなのである。

記念すべきデビューアルバム「STARDUST RVUE」その3_c0402617_16075672.jpg


# by sutarebizuki | 2020-06-07 16:04 | STARDUST REVUE

記念すべきデビューアルバム「STARDUST RVUE」その2_c0402617_11263543.jpg
スターダスト・レビューのファースト・アルバムの2曲目から5曲目までの感想です。

2曲目の「ラッキー・レイン」は1曲目と変わって、シティ・ポップス風。
1980年代の前期にふさわしいアレンジの曲ですね。
オシャレ・モードと言っていいでしょう。
サックスが入る部分に入ると、当時流行していたフュージョン・サウンドで、ちょっと驚きます。
ギター・ソロに至っては、完全にラリー・カールトン風です。
「根本さん、ギター上手い!」とつぶやいてしまいます。
実に演奏力が高く、フュージョン・バンドとしても成り立ちそうだと感じました。
徹底的に、オシャレなサウンドで行く手もあったのでしょうけど、やはり、「おらが鎮守の村祭り」で、ヤマハの審査を突破した人たちです。
そうはいかなかったのでしょう。
どんなジャンルの曲でもできるんだよ!という当時の彼らの何気ないアピールを感じます。

3曲目は「気分はセレナーデ」。ジャジー(ジャズっぽい)なアダルトな雰囲気の部分と、コミカルな曲調が混在する凝った曲です。
ドゥーワップの部分はやっぱり上手い!
遊び心を感じる曲なので、聴き手を選んでしまう感じがしないでもありません。

4曲目はベースの柿沼さん作詞作曲の「常夏のジャガタリアン」。曲調はマンボ。韻を踏んでいるような歌詞がクセになる曲です。
柿沼さん、ファースト・アルバムから曲を提供してたんですね。ちょっと意外でした。
真面目そうに見える男前の柿沼さんの曲にしては、かなりのコミカル路線なので、これも意外。
今となっては、彼らの幅広いレパートリーの一つとして楽しんで聴けるんですけど、初めて聴いた時はかなり戸惑いました(笑)。
何せ、「夢伝説」からファンになった人間ですからね。
メインヴォーカルは根本さんじゃない。作詞作曲の柿沼さん?何か違うような・・・。三谷さんではない。
となると寺田さんか、ボーさんか?はっきりわかりません。

5曲目は「ラストシーン」。哀愁を漂わせるスタレビ得意のしっとりしたムードの曲。
途中で、根本さんの歌がサザンの桑田さん風に聴こえる部分があります。
意識はしてないんでしょうけど、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったサザンの影響があったような気がします。
でも、サザンと違うのは女性が一人称の歌詞がロマンチックであること。
これぞスタレビという歌詞ですね。

# by sutarebizuki | 2020-05-09 10:06 | STARDUST REVUE